- 展示会出展を成功させるには、明確な目的設定と数値目標の設定が不可欠です。出展の目的(新規顧客獲得、認知度向上、契約獲得など)に応じて適切なKPIを定めましょう。
- 出展計画では、ターゲット選定からコンセプト策定、ブースデザイン、集客方法、予算管理、スケジュール策定まで綿密に準備します。事前準備が当日の成果を左右します。
- 展示会当日は、魅力的なブース装飾や訓練されたスタッフによる接客で来場者の関心を引き付け、効率よくリード(見込み客)を獲得します。質の高い商談機会を創出することが重要です。
- 展示会後は、獲得したリードへの迅速なフォローアップと出展成果の振り返り・分析が肝心です。リード育成や受注に繋げてはじめて展示会出展のROIが最大化されます。
- 本記事では、マーケティング責任者や展示会担当者の方に向けて、展示会出展計画の立て方と目標設定のポイントを総合的に解説します。最後に、B2B企業向け動画マーケティング・展示会支援を手掛ける当社の無料提案サービスもご紹介します。
展示会は、多くのB2B企業にとって新規顧客との重要な接点となるマーケティング施策です。しかし、単に出展するだけでは望む成果は得られません。大きな投資を無駄にしないためには、事前の計画立案と明確な目標設定が不可欠です。実際、展示会で自社ブースを構えても、準備不足により来場者に素通りされ、閑古鳥が鳴いているブースも少なくありません。一方、入念な計画のもと出展した企業は、絶えず賑わうブースを実現し、多くのリードを獲得しています。展示会出展を成功させる鍵は、「なぜ出展するのか」を明確にし、その目的に沿って綿密に準備を行うことです。本記事では、その具体的な方法について解説していきます。
目次
出展目的の明確化とKPI目標設定
まずは出展の目的を明確に定めましょう。自社が展示会に出展する理由は何か、達成したい成果は何かを洗い出します。展示会出展の主な目的には、例えば次のようなものがあります。
- 新規見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)
- 企業や製品・サービスの認知度向上
- 既存顧客との関係強化(顧客ロイヤリティ向上)
まずこれらの中から自社にとって最優先のメイン目的を決めてください。複数の目的を持つ場合でも、何に最も重きを置くかをはっきりさせておくことが重要です。目的が定まれば、次はそれを測定可能な目標に落とし込みます。具体的な数値目標(KPI)の設定です。
例えば「新規リード獲得」が目的なら「○件の名刺を獲得し、そのうち△件を有望商談につなげる」といった目標が考えられます。「認知度向上」が目的であれば「○名のブース来訪者を集める」「展示会後に自社サイトのアクセス数を△%増加させる」などが目標になるでしょう。また、最終的な受注や売上まで視野に入れるなら、**KGI(重要目標達成指標)として「展示会経由で○件・○万円の受注を○ヶ月以内に獲得」といったゴールを据え、そのためのKPI(重要業績評価指標)**を「会期中に見込み客○件獲得」「○件の商談実施」などと設定します。
目標を設定する際は、漠然と「頑張る」ではなくSMARTの法則に沿って定めると効果的です。SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(期限がある)の頭文字です。つまり目標は「具体的で」「数値で測れて」「現実的に達成可能」であり、「目的に関連していて」「期限内に結果を出せる」内容にします。例えば「3日間の会期で新規名刺100枚獲得し、その後1ヶ月以内に10件の商談創出を目指す」など、具体的な数字と期限を盛り込みましょう。
高すぎる目標は現場の士気を下げ、低すぎる目標はせっかくの出展効果を小さくしてしまいます。過去に出展経験がある場合はその実績値を参考に、初出展の場合は業界平均や営業活動の転換率(名刺獲得から商談化までの割合など)を参考にして、ストレッチしつつも実現可能な適切な目標値を設定してください。
出展する展示会の選定
出展目的が決まったら、どの展示会に出展するかを慎重に選定しましょう。世の中には大小さまざまな展示会・見本市がありますが、自社の狙いに合った場を選ばなければ効果は得られません。展示会を選ぶ際の主なポイントは次の通りです。
- 展示会のテーマ・来場者層の適合性:展示会ごとにテーマや来場対象(業種・職種)が異なります。自社の製品・サービスに関係の深いテーマで、狙った顧客層が多く来場する展示会を選びましょう。
- 展示会の規模と集客力:来場者数や出展社数、業界での知名度を確認します。大規模な展示会は集客力がありますが、同時に競合も多く埋もれる可能性があります。小規模でも自社のターゲットが集中するニッチな展示会も有効です。
- 過去の実績や評判:過去の開催報告や出展企業の声から、その展示会での商談件数や来場者の質をリサーチします。出展経験のある企業にヒアリングできると理想的です。
- 出展コストとROI:出展料やブース装飾費用などコストに見合う効果が見込めるか検討します。地方開催で交通費がかさむ場合なども踏まえ、費用対効果を予測しましょう。
- 会期・開催場所の適切さ:開催時期が自社の営業計画に合うか(年度末・四半期などの商戦期か)、開催地が主要顧客の集まるエリア(東京、大阪、名古屋、福岡など)かも考慮します。
自社にとって最適な展示会を見極めるには、場合によっては実際に展示会に来場者として足を運んでみることも有効です。来場者目線で雰囲気や集客状況を把握し、次回出展する価値があるか判断できます。限られた予算で出展効果を最大化するために、どの展示会に出るかの選択は戦略的に行いましょう。
ターゲットの設定
出展目的と展示会が決まったら、具体的にどのような来場者をターゲットとするかを決めます。ターゲットとは、ブースに来てほしい理想的なお客様像です。業種・業界、企業規模、役職、課題などの観点から、狙う来場者のプロフィールを明確に描きましょう。
例えば、製造業向けの機械をPRするなら「製造部門の工場長や生産技術担当者」がターゲットかもしれません。ITソリューションであれば「情報システム部門のマネージャー」、自治体の展示会で地域PRが目的なら「企業誘致担当の行政職員や地域住民」など、ケースごとに想定される来場者層がいます。自社の製品・サービスに最も関心を持ち、意思決定に影響力を持つ層は誰なのかを検討してください。
ターゲットを明確にすることで、後のブース作りや訴求メッセージ、配布資料の内容も的を絞りやすくなります。「誰に何を伝えたいのか」が定まっていれば、展示会当日の説明員も対応しやすくなり、質の高いリードを獲得しやすくなります。漠然と「幅広くPRしたい」ではなく、「この層には特に刺さるように訴求しよう」という優先順位をつけましょう。
出展コンセプトと訴求メッセージ
目的とターゲットが固まったら、展示会全体のコンセプトを策定します。コンセプトとは、出展を通じて来場者に伝えたい統一的なテーマやメッセージのことです。自社の強みや製品の魅力を踏まえ、「来場者にどんな価値を提供できるのか」「どんな課題を解決できるのか」を一言で表すイメージです。
コンセプトを考える際は、同時に競合他社との差別化ポイントも意識しましょう。展示会場には類似の製品やサービスを持つ企業も多数出展しています。その中で自社ブースに立ち寄ってもらうには、「自社ならでは」の切り口や強みを前面に出す必要があります。「業界初」「特許技術」「〇〇専門」など、来場者の興味を引く独自性を盛り込みましょう。
策定したコンセプトに基づき、来場者に響く**キャッチコピー(訴求メッセージ)**も準備します。ブースの看板やパネルに大きく掲示するフレーズです。来場者は短時間で多くのブースを見て回るため、一瞬で「お、このブースは自分に関係がありそうだ」と思わせるキャッチコピーが重要です。伝えたいメッセージを簡潔かつ明確な言葉に絞り込み、専門用語ばかりにならないように注意しましょう。例えば、「◯◯で生産性〇倍!業界最先端の□□ソリューション」など、成果やメリットが直感的に伝わる表現が効果的です。
コンセプトとメッセージは、展示会準備から当日の運営に至るまであらゆる判断の軸となります。ブースデザイン、配布資料、スタッフのトークに至るまで一貫性を持たせ、ターゲットの心に刺さるストーリーを作り上げましょう。
ブースデザインと装飾のポイント
展示会で来場者の足を止めるには、ブースのデザインや装飾も極めて重要です。人は視覚から受ける情報が大半を占めるため、第一印象で「このブースは立ち寄ってみたい」と思わせる工夫が必要です。以下にブースデザインと装飾の主なポイントを挙げます。
- 開放的で入りやすいレイアウト:ブースの入口を広く確保し、中の様子が外からでも見えるようにしましょう。閉鎖的で中が見えないブースでは、自社の製品やサービスに興味がある来場者も入りにくいものです。外からでもブース内が見渡せる状態であり、さらにブース内の展示品に来場者が自ら触れてみたくなる工夫や、デモンストレーション等を実施し、来場者が立ち寄りやすいようにしましょう。
- 遠目からでも分かる明確な看板:社名や製品名だけでなく、先述のキャッチコピーなどをブース上部によく見える形で掲示します。遠くからでも「あのブースは何を扱っているか」がひと目で理解できるよう、高い位置に大きな文字で表示することが効果的です。
- 一貫したブランディング:ブース全体のカラーやデザインは自社のコーポレートカラーやイメージに沿ったものに統一しましょう。出展の度に毎回ブースのデザインが変わってしまうと、以前から自社を認知している顧客に誤認される可能性があるため、デザインには一貫性を持たせることが大切です。ロゴやブランド要素は目立つ場所に配置し、企業イメージを印象付けます。
- 魅力的な展示演出:製品やサービスの魅力を最大限に伝えるため、単なるカタログ陳列ではなく、実機デモンストレーションや映像コンテンツの活用がおすすめです。大型モニターで製品動画や導入事例の映像を流せば、動きや音で来場者の注意を引けます。VR/ARなど最新技術を使った体験コーナーがあれば話題性も高まり、ブースに人を呼び込めるでしょう。
- 来場者が滞在しやすい工夫:ブース内は整理整頓し、立ち寄った人が歩き回りやすい動線を確保します。パンフレット置き場や商談スペース、デモコーナーの配置を工夫し、「立ち止まりやすく、話を聞きやすい」環境を整えます。立ち話が長くなりそうな場合に備えて簡易な椅子やテーブルを用意する、足元に疲労軽減マットを敷くなど、来場者の負担を和らげる配慮も有効です。
ブース装飾はプロの手を借りることで、より洗練された空間を作り出すことが可能です。特に自社でノウハウが無い場合は、展示会ブース装飾の専門会社に相談し、コンセプトに沿ったブース設計・施工を依頼するのも効果的でしょう。魅力的なブースはそれ自体が集客装置となり、営業スタッフの働きを後押ししてくれます。予算の許す範囲で最大限にクリエイティブなブース作りを目指しましょう。
集客方法(事前プロモーション)の計画
出展準備とブース設計が整ったら、来場者をいかにブースに呼び込むかの集客施策にも注力しましょう。主催者の宣伝だけに任せず、自社で積極的にターゲット層へアプローチすることが大切です。事前プロモーションの主な方法をいくつか紹介します。
- 招待状やDMの送付:自社の顧客リストや見込み客リストに対して、展示会への招待状を郵送またはメール送信します。招待状には展示会名・日時・会場・ブース番号はもちろん、出展内容の見どころや特典(例:招待状持参者にはノベルティ進呈など)があれば明記して誘引しましょう。特に有望な見込み客には、営業担当から個別に電話で訪問日時の打診をするなど、一歩踏み込んだ案内も有効です。
- 自社ウェブサイトでの告知:展示会出展の情報を自社サイトのニュースやイベント欄に掲載します。トップページにバナーを設置し、「〇月〇日〜〇日に東京ビッグサイトで開催される○○展に出展します!」などと告知しましょう。展示会専用のランディングページを作成し、来場予約や資料請求を受け付ける仕掛けを用意しても良いでしょう。
- SNSでの情報発信:TwitterやLinkedInなど自社のSNSアカウントでも展示会出展を周知します。新製品を発表するなら「初披露」「体験できる」といったワードで興味を刺激しましょう。会期が近づいたらカウントダウン投稿を行ったり、ハッシュタグ(展示会公式ハッシュタグがあれば活用)を付けて投稿することで露出を増やします。画像や動画つきの投稿は拡散されやすく効果的です。
- プレスリリースの配信:展示会で新製品発表やセミナー開催などニュース性のあるトピックがあれば、プレスリリースを出してメディアに取り上げてもらう手もあります。業界紙やWebメディアに掲載されれば信頼性が増し、興味を持った読者がブースに訪れてくれる可能性があります。
これら複数のチャネルを組み合わせ、展示会前からターゲットとの接点を増やしておきましょう。事前に「会場でお待ちしています」と何度かコンタクトしておけば、当日ブースに来てくれた際にスムーズに商談に入れます。反対に事前集客を怠ると、「せっかく出展したのに誰もブースに来ない…」という事態にもなりかねません。展示会は会期中だけでなく、その前後も含めた長期的なマーケティング活動と捉え、周到に計画を立てましょう。
展示会準備のスケジュール策定
展示会出展は準備すべきタスクが多岐にわたるため、スケジュール管理が成功のカギを握ります。出展が決定したら、会期から逆算して計画を立て、社内外の関係者と共有しましょう。一般的な準備スケジュールの目安を示します。
- 会期5〜6ヶ月前: 出展決定。出展目的・目標を社内で確定し、経営層の了承を得ます。出展申し込み・契約手続きを行い、出展料支払い等の社内予算処理を開始します。並行してプロジェクトチームを編成し、全体スケジュールの素案を作成します。
- 会期3〜4ヶ月前: ブースの基本設計と出展内容の骨子を決めます。展示コンセプト・テーマを確定し、どの製品やサービスを展示するか選定します。必要であればブース施工業者やデザイン会社を選定・発注します。また、この頃までに配布資料やノベルティの内容を決め、制作手配に着手します。
- 会期2ヶ月前: 集客施策を本格化させます。招待状やDMの準備・送付、ウェブやSNSでの告知開始などを行います。ブースで上映する動画やプレゼン資料、製品デモのスクリプトなどコンテンツ制作も仕上げに入ります。出展者説明会(主催者による事前打ち合わせ)があれば参加し、会場のルールや注意事項を再確認します。
- 会期1ヶ月前: 当日のブース運営計画を固めます。説明員として配置するスタッフを最終決定し、社内で役割分担を周知します。スタッフ向けの研修会やリハーサルを行い、トーク内容や接客手順をシミュレーションします。展示物の在庫や発送手配、レンタル備品の確認もこの時期に完了させます。加えて、名刺やパンフレットの必要部数を再確認し、不足があれば追加発注します。
- 会期1週間前〜前日: 最終チェックです。発送済みの荷物が会場に届いているか主催者に確認し、搬入スケジュールをチームで共有します。持ち込み機材や配布物、工具や予備部品など、当日持参する物品のチェックリストを作成し漏れを防ぎます。スタッフ全員に当日の集合時間・場所、服装や持ち物を周知徹底し、連絡体制(緊急連絡先など)も確認しておきます。前日にブース施工がある場合は立ち会って設営を確認し、不備があれば直してもらいます。
- 会期当日(〜撤収): 会期中の運営については後述しますが、スケジュールとしては、毎日の開場前にスタッフ打ち合わせを行い役割を再確認、閉場後には簡単な振り返りミーティングを行う時間を確保すると良いでしょう。最終日の撤収作業についても事前に役割を決め、レンタル品の返却や搬出手配を滞りなく行います。
- 会期後: 展示会終了後1週間以内に、社内で報告会や反省会を実施します。獲得リードの整理とフォロー計画の着手も速やかに行います(詳細は後述)。主催者から出展者アンケート等が届く場合があるので対応し、必要なら来年の仮予約なども検討します。
以上は一般的な目安ですが、展示会によっては準備期間がさらに長期にわたる場合もあります。特に大規模展示会では1年前から募集が始まることもあるため、社内予算取りの段階から逆算して動き出す必要があります。いずれにせよ、早め早めの準備と進捗管理が成功の秘訣です。
スタッフの役割分担とトレーニング
展示会成功の影の立役者は、ブースで対応する**説明員(スタッフ)**です。どんなに立派なブースでも、対応するスタッフの力量次第で成果は大きく変わります。そこで、出展前にスタッフのトレーニングと役割分担をしっかり行いましょう。
まず、説明員となるスタッフ全員で出展の目的と目標を共有します。チーム全体が「今回の展示会で何を達成したいのか」を理解していれば、自ずと現場での行動も目標志向になります。例えば「名刺100枚獲得」が目標なら、進捗を意識しながら声かけのペース配分を考えるでしょうし、「特定業界の有望リード10件獲得」が目標なら、その業界の来場者を見極めて重点的に対応するなど、戦略的なアプローチが可能です。
次に、スタッフそれぞれの役割を明確に決めます。展示会では、来場者への声かけ、プレゼンテーション、デモ操作、質問対応、名刺情報の記録など様々なタスクがあります。チーム内で得意分野や担当を決めておくとスムーズです。例えば:
- 呼び込み役:通路を歩く来場者に積極的に声をかけ、興味を持ちそうな方をブースに招き入れる。
- プレゼンター:ブース内で製品説明やデモを行い、来場者の関心を引き付ける。プレゼンに慣れた社員が適任でしょう。
- テクニカル担当:詳細な技術質問や専門的な問い合わせに答えるエキスパート。技術者や製品開発担当者がいると信頼感が高まります。
- 受付・記録係:名刺交換をしてお礼を伝えつつ、来場者の興味度合いや要望を簡単にメモし、後のフォローに備える。
もちろん小間の規模によっては一人で複数の役割を兼務することになりますが、事前に「誰が何を主に担当するか」を決めておくだけでも当日の動きが違います。
事前トレーニングも欠かせません。展示会本番を想定し、スタッフ全員でロールプレイングを行いましょう。想定問答集を作成し、よくある質問への回答や、製品デモの手順を繰り返し練習します。短時間で自社の要点を伝えるエレベーターピッチも各自準備させ、どんな来場者にも最初の30秒で興味を持ってもらえるよう磨きをかけます。また、お互いの話し方やジェスチャーを確認し、悪い癖(早口すぎる、専門用語を使いすぎる、愛想がない等)があれば指摘し合い改善します。
加えて、接客マナーや立ち居振る舞いの確認も重要です。笑顔で明るい挨拶をする、来場者の目を見て話す、パンフレットを渡す所作を丁寧にする、といった基本を再確認します。逆にNG行動(私語をしない、スマホをいじらない、椅子に座ったままにしない 等)は事前にリストアップして注意喚起しましょう。ブースの印象はスタッフの態度一つで大きく変わります。プロ意識を持って臨むよう意識付けが必要です。
最後に、ユニフォームや名札の準備も忘れずに。統一感のある服装(スーツに社章着用、あるいはオリジナルポロシャツ着用など)はブースの信頼感を高めます。名札には社名・氏名・役職を明記し、来場者から話しかけられやすいようにしましょう。海外からの来場者対応に備え、英語対応スタッフを配置することも検討してください(社内にいなければ通訳を手配する)。
以上のような事前準備を経て、展示会本番に臨めば、チームが一丸となって効果的な接客ができるはずです。説明員が自信と余裕を持って対応できれば、来場者も安心して耳を傾けてくれるでしょう。
展示会当日の運営とリード獲得
周到な準備を経て迎える展示会当日。当日は時間との戦いでもあります。限られた会期内で最大限の成果を出すために、現場での運営ポイントを押さえておきましょう。
- 開始直後のスタートダッシュ:開場してすぐの時間帯は来場者の足取りもゆっくりで、話を聞いてもらいやすい傾向にあります。朝一番から積極的に声をかけ、ブースに人を呼び込みましょう。反対に終盤間際は急いでパンフレットを掻き集めるだけの人も増えるため、勝負どころは午前中〜午後の早い時間です。
- 積極的な呼び込みと選別:スタッフは笑顔で積極的に声掛けを行いましょう。ただし、むやみに全員を引き留めるのではなく、事前に設定したターゲットに近い来場者(例えば名札の社名や肩書を一瞬で読み取って)に重点を置くなど、効率的なアプローチを心がけます。「○○にお困りではありませんか?」などターゲットの課題を想起させる一言で足を止めてもらえるとベストです。
- ブース内でのスムーズな誘導:興味を持ってブースに入ってきた来場者には、待たせずすぐ話しかけましょう。「いらっしゃいませ、本日はお越しいただきありがとうございます。」「何かお目当ての情報はございますか?」など丁寧にヒアリングし、ニーズを探ります。複数人が同時に来た場合は、空いているスタッフが臨機応変に対応し、一人も放置しないよう目配りします。人気ブースでは一度に多くの来訪があり対応が追いつかないこともあるため、場合によっては簡単な資料を渡しつつ順番に声をかける、もしくは時間を区切ったミニプレゼンを繰り返し行いまとめて説明する、といった工夫も有効です。
- リード情報の確実な取得:名刺交換やバーコードスキャンなど、来場者情報の取得は確実に行います。名刺をいただいたら名刺入れにしまい込むだけでなく、その場で気づいたニーズや温度感を裏面にメモしておきましょう(あるいはデジタル管理システムに入力)。「この方は○○に課題感あり、○月に予算化予定」等、後でフォローする際に思い出せる情報が宝になります。最近は専用アプリで来場者情報を管理できる場合もありますが、アナログでもいいので記録する習慣を徹底します。
- 有望見込み客へのアプローチ:話してみて明らかに有望度が高いリード(購入意向が強い、決裁権者である等)だとわかったら、展示会会期中であってもできるだけ踏み込んだ対応をしましょう。例えばその場で個別商談のアポイントメントを設定する、後日訪問の約束を取り付ける、具体的な提案書作成に繋げるなど、一歩次の段階へ進めておきます。展示会後に改めて連絡しますと伝えるだけより、その場で次の行動を確約する方が成果に結び付きやすくなります。
- 目標進捗のこまめな確認:会期中、朝礼・夕礼の際などに、獲得名刺数や商談件数を集計し進捗を把握します。目標に対して大きく遅れている場合は翌日の動き方を再検討し、声掛け方法を変える、ノベルティで引き付けてみる等の改善策を即座に講じましょう。逆に好調な場合も気を抜かず、さらに質の高いリードを狙う意識を高めます。チーム内で情報共有し合い、「○○社の△△様が良いお客さんだった」「□□の話題に皆反応が良い」といった知見をその場で共有することで、日々ブラッシュアップしていきます。
- ソーシャルメディアの活用(状況によって):もし余裕があれば、開催期間中にSNSでブースの様子や出展製品を発信するのも一手です。「本日○時からデモ実施!」などリアルタイム情報を流せば、会場内外で見た人が訪れてくれるかもしれません。特に自社フォロワーに向けて来場を促す投稿は効果的です。ただし当日のSNS対応は手が回らないことも多いので、可能なら別スタッフが担当するか、事前に投稿予約をセットしておきましょう。
- 他社ブースの視察:合間の時間に、競合他社や業界動向を把握するため他のブースを見学するのも有益です。自社ブース運営の参考になるアイデアが見つかるかもしれません。ただし自ブースが手薄にならないよう、人員配置には注意しましょう。
以上のように、展示会当日は「一人でも多くの良質なリードと出会う」ことに注力します。同時にブースに来てくれた方全員に丁寧に対応し、自社への好印象を持って帰ってもらうことも大切です。展示会場での出会いはあくまでスタートライン。その後の商談に繋げるため、現場ではフットワーク軽く全力で対応しましょう。
展示会後のフォローアップと効果測定
展示会が無事終わっても、そこで仕事が終わりではありません。むしろ、展示会後のフォローアップこそが商談・受注に結び付けるための正念場です。終了後の対応と効果検証について整理します。
まず、会期終了直後から迅速なリードフォローを開始します。獲得した名刺やリストをすぐにデジタル化・共有し、営業担当者へ引き継ぎましょう。できれば翌営業日中には、お礼のメールを送信します。「展示会ではご来訪いただきありがとうございました。〇〇の件でまた改めてご提案させてください」といった内容で構いません。スピードが命です。熱が冷めないうちにアクションすることで、競合他社に先んじて商談機会を得られます。
リードには優先度をつけて対応します。例えば、展示会場で明確な引き合いがあった「Aランク」の見込み客には即日〜数日中に個別連絡し、訪問やオンライン商談の日程を取り付けます。興味を示していたが具体案件化していない「Bランク」にはメールで関連資料や導入事例を送り、中長期でナーチャリング(教育)していきます。また「あまり関心が高くなさそうだったCランク」についても、お礼メール程度は送りつつ、自社のメールマガジンに登録して継続的に情報提供するなど、すべてのリードを何らかのパイプに繋いでおきます。
次に、社内での成果共有と分析です。展示会終了から1週間以内を目安に、出展メンバーや関係者が集まり報告会を行いましょう。以下のような項目を振り返ります。
- 数値目標に対する実績:名刺獲得○件(目標比△%)、商談○件成立、などKPIの達成度。
- 獲得リードの質:具体的な案件に繋がりそうな件数や、有望企業のリードがどれだけ含まれるか。
- ブース来場者の反応:よく聞かれた質問、興味を持たれた製品、逆に関心が低かった展示物は何か。
- 運営面の反省点:ブースレイアウトや導線で問題は無かったか、スタッフ体制は適切だったか、配布物は足りたか等。
- 競合他社の状況:他社ブースの賑わいやプロモーション手法で印象的だったこと、自社に取り入れたいアイデア。
これらを洗い出し、次回の展示会出展(あるいは他のマーケティング施策)に活かす改善策をまとめます。例えば「キャッチコピーのインパクトが弱かったので次回は見直す」「想定外の質問が多かったのでQ&A集を拡充する」など具体的に策定し、社内共有しておきます。
あわせて、費用対効果(ROI)の分析も行います。展示会にかかった総費用(出展料、装飾費、旅費等)に対して、得られた商談見込みや受注見通しがどの程度かを評価します。すぐに受注がなくとも、将来のパイプラインにどれだけ貢献したか(見込み案件の売上見込額合計など)を算出すれば、定量的な効果測定になるでしょう。ROIが明らかになれば、次回の出展判断や予算取得の説得材料にもなります。
フォローアップは展示会直後の短期対応だけでなく、中長期的な視点でも続きます。展示会で得たリードに半年後・1年後に案件化するものも少なくありません。定期的な情報提供や営業活動を継続し、せっかく得た縁を育てていきましょう。また、展示会で制作・使用したコンテンツ(動画やパネル資料等)は、Webサイトや営業資料として再活用することで、さらなるリード獲得や顧客育成に役立てることができます。
総じて、展示会後の対応まで含めて初めて出展が成功したと言えます。迅速かつ丁寧なフォローと、結果の分析・次回への改善を怠らず、出展効果を最大限に引き出してください。
まとめ
以上、展示会出展計画と目標設定について、準備段階から当日運営、そして事後フォローまで一連のプロセスを解説しました。改めて強調したいポイントをまとめます。
- 事前計画:出展目的とKPIを明確に設定し、それに基づいてターゲットやコンセプト、展示内容を戦略的に決定する。
- ブース準備:魅力的で一貫性あるブースデザインを用意し、事前の集客プロモーションを徹底する。スケジュールに沿って着実に準備を進める。
- 当日の実践:訓練されたスタッフがチームワークを発揮し、積極的な声掛けと的確な提案で質の高いリードを獲得する。当日の状況変化にも柔軟に対応する。
- 事後対応:迅速なリードフォローと社内での成果分析を行い、出展効果を商談・売上に繋げて初めて成功と言える。得られた知見は次回以降に活かす。
展示会は決して「出て終わり」ではなく、企業のマーケティング活動の中で新たな関係を築く起点となるイベントです。計画段階から結果検証まで一貫して取り組むことで、大きなROIを生み出すことができます。逆に言えば、どれか一つのフェーズでも疎かにすると十分な成果は得られません。本記事の内容を参考に、ぜひ貴社の次回展示会出展の成功につなげてください。
しかし、「分かってはいるけど、自社だけでこれだけの準備をするのは大変だ…」という声もあるでしょう。そんな時は、展示会支援のプロフェッショナルに相談するのも一案です。最後に、当社のサービスについてご紹介します。
当社のサービスと無料提案のご案内
当社は、大手B2B企業に特化した動画マーケティング&展示会ブースのコンサルティング会社です。これまで製造業、エネルギー、機械、電機、化学、情報通信、建設業、地方自治体など様々なクライアント企業の展示会出展を支援してきた豊富な実績があります(東京・大阪・名古屋・福岡など主要エリアの展示会に対応)。
当社の強みは、動画コンテンツの活用を軸に据えた集客・PR支援と、展示会ブースの企画・設計から施工、スタッフ研修まで一貫してサポートできる点にあります。具体的には、出展計画のコンサルティング、ブースデザイン・装飾の提案、映像コンテンツの企画・制作、ブースでのプレゼンテーション運用設計、さらには展示会後のフォロー施策(獲得リードへの動画を用いたナーチャリング等)まで包括的にお手伝いいたします。
特にB2B分野においては、「専門的なサービスを分かりやすく伝える動画制作」や「展示会とデジタルマーケティングを連携させた顧客育成」が当社の得意領域です。初めて展示会に出展する企業様から、「何度も出ているが思うような成果が出ない」というお悩みを持つ企業様まで、状況に応じた最適なプランをご提案します。
当社では、展示会ブースの企画立案や動画コンテンツ制作、さらに制作後のフォローアップ施策の立案まで、無料でご提案させていただいております。まずは貴社の現状や課題をお聞かせください。それを基に、具体的なブース演出プランや動画活用アイデア、展示会後のマーケティング施策案などを盛り込んだプランをご提示いたします。もちろんご相談だけでも歓迎です。
大切な展示会を成功に導くために、プロの知見をぜひお役立てください。お問い合わせは当社ウェブサイトのフォームまたはお電話でお気軽にどうぞ。貴社の展示会成功に向けて、私たちがお力になります。ぜひ一緒に、新たな価値創出の機会を実現しましょう。
このサイトは、B2Bに特化した動画マーケティングと展示会ブースのコンサルティングのW CREATIVE(ダブルクリエイティブ)株式会社が運営しています。