国際物流総合展2026は、物流・サプライチェーン分野の先進技術が一堂に集まる専門展示会です。東京ビッグサイトで2026年9月に開催され、国内外から物流企業や専門家が集結します。本記事では、自動化・ロボット技術（AGVやドローンなど）、デジタル化・IoTを活用したスマート物流、脱炭素・環境配慮型資材を含むサステナブル物流、AI・ビッグデータによるサプライチェーン効率化、そしてBCP強化に向けた災害対策・安全支援機器など、同展示会で注目される最新トレンドを解説します。これらの情報を踏まえて準備を進めれば、出展企業は展示会でより大きな成果を得ることができます。
目次
自動化・ロボット技術の最新動向（AGV、ドローン等）
物流業界では慢性的な人手不足を背景に、倉庫内外の作業を自動化する技術導入が急速に進んでいます。特にAGV（無人搬送車）やAMR（自律走行搬送ロボット）は、多品種少量多頻度の仕分け・搬送業務で導入が増加中です。最新の傾向としては、以下のような技術や製品があります：
- AGV/AMRの進化：複数台が隊列走行できる隊列機能や、事前登録なしで周囲を自律走行できる高性能センサー搭載モデルが登場。倉庫内の混雑状況を学習し最適ルートを自動生成するAI制御も実用化されつつあります。
- 協働ロボット（コボット）：作業員と共存可能な小型ロボットが注目されています。セーフティーセンサーで人を検知し、安全に協働してピッキングや組立て作業を支援します。簡単なプログラムで動作を設定でき、生産ラインへの組み込みも容易です。
- ロボットピッキング・仕分けシステム：多関節ロボットとビジョンシステムを組み合わせ、検品・梱包作業を自動化します。倉庫内の棚に並ぶ商品を正確に認識し、把持する技術が進化しており、多様なアイテム揃えにも対応できるようになっています。
- ドローン活用：物流センター内の棚卸や在庫確認にドローンを使用する事例が増えています。無線ネットワークを活用し、自動航行で倉庫内を巡回できるドローンが注目されています。屋外ではラストワンマイル配送用ドローンの実証実験が各地で進められており、都市部や離島での活用可能性が検討されています。
- 無人運転技術：フォークリフトや構内用搬送車に自動運転機能を搭載し、指定ルートの自律走行や事前設定された経路での搬送が実現されています。工場間輸送や構内物流での活用が進み、将来的には高速道路走行が可能な自動運転トラックの実用化も期待されています。
- ウェアラブルロボット：作業員の肉体的負担を軽減するパワードスーツやアシストスーツが実用化段階にあります。重い荷物の持ち上げや長時間作業時に腰や腕を補助し、安全性の向上に寄与します。
これらの先端技術は作業効率化と省人化を両立し、労働負荷の軽減や生産性向上に貢献します。国際物流総合展2026では最新世代のAGV/AMR、協働ロボット、ドローン配送ソリューションなどが展示予定で、実演デモで技術レベルを体感できる場となるでしょう。
デジタル化・IoTを活用したスマート物流ソリューション
物流業務の各所にIoTセンサーやクラウドプラットフォームを組み込み、デジタル化で可視化・最適化を図る「スマート物流」はさらに加速しています。最新トレンドには以下の項目が挙げられます：
- リアルタイム追跡と可視化：トラックやコンテナにGPS/GNSSや温湿度センサーを装備し、貨物の位置・状態をリアルタイムにモニタリングします。輸送中の温度異常や遅延を早期検知し、迅速な対応が可能になります。これによりサプライチェーン全体の情報透明性が高まります。
- 倉庫のデジタルツイン化：倉庫内に設置したIoT機器（位置センサー、重量センサー、RFIDリーダーなど）から収集したデータを基に、クラウド上に倉庫の仮想モデルを構築します。人や機械の動線や在庫配置をシミュレーションし、最適なレイアウトや作業ルートを導き出します。デジタルツイン化によって設備投資の効率化や混雑回避が可能になります。
- 接続性強化：5GやLPWA（長距離省電力無線）など通信技術の普及により、広範囲な物流拠点でIoTデバイスが安定接続可能になりました。遠隔で倉庫機器や車両を制御・診断できるため、自律運用やリアルタイムな情報共有が実現します。
- AR/VR技術の活用：現場教育や設備メンテナンスにAR（拡張現実）/VR技術を活用し、遠隔地でも作業手順を可視化したり、3Dマニュアルで新人教育を効率化する事例が増えています。作業員がARメガネを装着し、棚位置や最適ルートを視覚的に案内するなど、現場効率化に寄与します。
- スマート倉庫管理システム（WMS）：AIと連携し、作業指示を自動配信する最新WMSが登場しています。在庫管理と需要予測を連動させ、入出庫タイミングや棚卸しを自動調整することで、在庫精度と作業効率を同時に向上させます。サプライチェーン全体のデータを統合して管理することで、トレーサビリティや異常検知が容易になります。
- 予知保全・機器管理：倉庫内機械や車両に振動センサーや稼働センサーを取り付け、稼働データをAIで解析することで、機器の故障予兆を検知する動きが広がっています。これにより設備トラブルによる計画外停止を減少させ、稼働率の維持につなげます。
こうしたIoT・DXソリューションは、現場オペレーションの高度化や迅速な意思決定をサポートします。展示会ではスマートセンサーやクラウド物流プラットフォームの導入事例、ソフトウェア連携ソリューションの出展が予定されており、企業のデジタル化推進に役立つ最新情報が得られます。
サステナブル物流（脱炭素・環境対応資材）の取り組み
脱炭素社会の実現に向け、物流業界でも環境負荷低減の取り組みが活発化しています。物流拠点や輸送手段、資材選びにおける主なトレンドを紹介します：
- エコ輸送車両の導入：EV（電気自動車）トラックや燃料電池トラックの実用化が進展しています。航続距離の延伸や充電インフラ整備により、長距離輸送での導入が増加傾向です。さらに、バイオ燃料や再エネ由来燃料の利用試験も行われ、厳格化する排ガス規制への対応が進んでいます。
- グリーン倉庫・物流施設：倉庫に太陽光発電や蓄電池を導入し、自家発電で稼働できるシステムが注目されています。停電時には非常用電源としても機能するためBCPにも貢献します。さらに、屋上緑化や高断熱設備、LED照明や高効率冷暖房を備えた省エネルギー設計で温室効果ガス排出を抑制し、運用コストの低減にも効果があります。
- 環境配慮型資材・包装：梱包資材やパレットに再生可能・再利用可能な素材を採用した事例が増えています。段ボールや緩衝材のリサイクル・リユースを促進し、廃棄物削減を目的とする取り組みが広がっています。軽量化技術を活用した包装設計により輸送効率が向上し、1輸送あたりのCO2排出量低減につながります。
- モーダルシフトとルート最適化：港湾や鉄道を活用した輸送への切り替え（モーダルシフト）を進める動きが強まっています。複数輸送手段を組み合わせることで全体最適を図り、トラック輸送による二酸化炭素排出量を削減します。また、AIによる最適ルート選択で輸送距離を短縮し、燃料消費を低減する取り組みも行われています。
- 省エネ設備・ドライバー支援：高効率冷凍機や省エネ搬送機器の導入だけでなく、トラックのアイドリングストップ機能や運行スケジューラ、エコドライビング支援システムによって燃費改善を図る企業が増えています。物流センター内ではエネルギーマネジメントシステム（EMS）で消費電力を最適制御する動きも見られます。
- 地産地消物流・包装レス：EC物流の拡大に伴い、近隣地域での配送拠点設置や、梱包不要の直送サービスなどで配送回数・梱包材を削減する試みが進んでいます。必要最小限のパッケージングにより、輸送効率向上と廃棄資材の削減を両立します。
国際物流総合展2026では、これらのグリーン物流・サステナブル資材に関する技術展示やセミナーが注目されています。脱炭素化を実現するソリューションや先進事例を学ぶことで、環境配慮型物流への移行を加速させられます。
サプライチェーン効率化のためのAI・ビッグデータ活用
サプライチェーン全体の最適化にはAIやビッグデータの活用が不可欠です。以下のような用途での導入が加速しています：
- 輸配送計画の高度化：AIを使った経路最適化ソフトウェアにより、交通渋滞や納期、コスト条件を考慮した配送ルートを自動算出します。これにより配送効率が大幅に向上し、燃料費や人件費の削減が期待されます。さらに、リアルタイム交通情報との連携で突発的な道路状況変化にも柔軟に対応できます。
- 需要予測と在庫最適化：過去の販売実績や市場データ、気候・イベント情報など膨大なデータを分析し、需要を高精度に予測します。適正在庫レベルを維持することで欠品や余剰在庫を抑制し、在庫コストの削減とキャッシュフロー改善につながります。AIによる自動発注機能を備えたシステムも登場し、在庫管理の省力化が進んでいます。
- ビッグデータによる可視化・リスク管理：倉庫や輸配送で得られるセンサーデータや運行記録、外部データを統合・分析して可視化プラットフォームで一元管理します。KPIをリアルタイムに監視し、異常値検知や傾向分析でボトルネックを発見しやすくなります。また、気象情報や社会情勢を取り込んだリスク分析により、サプライチェーン上の脆弱箇所を事前に特定できます。
- 画像認識・品質検査：AIによる画像認識技術を物流センターに導入し、梱包や仕分け時の品質検査を自動化する動きが広がっています。例えば、バーコード読み取りだけでなく、箱の破損やラベル貼付ミスを検出するカメラシステムにより、検品精度が向上しています。
- 車両稼働の最適化：輸送車両の使用データをAI解析し、車両稼働率とアイドリング時間を最適化するソリューションが登場しています。これにより車両の劣化や無駄走行を低減し、コスト効率の高い輸送が可能になります。
- 人員配置計画：需要予測をもとに必要人員数をAIが算出し、シフト計画や外部委託の手配に役立てます。これにより過不足のない人材配置が実現し、人件費削減と作業品質維持を両立します。
- 自律学習型システム：機械学習モデルが動態データを基に継続的に学習し、予期せぬ異常や需要変動に自動適応するシステム開発も進んでいます。予測精度の向上により、急な注文増加や配送遅延といった状況にも対応しやすい仕組みを構築できます。
これらのAI・ビッグデータ技術は、従来人手が担っていた業務に革新をもたらします。展示会ではAIプラットフォーム提供企業や解析サービスの出展も予定されており、先進事例を通じて自社への応用アイデアを得ることができます。
BCP強化に向けた災害対策や安全支援機器の注目
日本では地震・台風などの自然災害が頻発するため、物流企業ではBCP（事業継続計画）がますます重要視されています。物流施設や輸送ラインを守るための最新対策には次のようなものがあります：
- 構造・設備面の対策：倉庫ラックや設備の耐震補強、免震架台の導入が進んでいます。地震時にも設備や在庫へのダメージを最小限に抑える設計が注目されており、被災後の復旧時間を短縮します。また、防水対策や耐火対策など複合災害を想定した対策も取られています。
- 非常用電源・通信システム：停電時にも物流が止まらないよう、UPS（無停電電源装置）や非常用発電機、蓄電池・太陽光発電システムを併設した物流センターが増えています。通信手段としては、通常回線の冗長化に加え、衛星通信端末やポータブル衛星ブロードバンドが導入され、災害時でもデータ連絡や指示伝達を維持できる仕組みが整備されています。
- 災害警報・見守り技術：物流施設内外には地震速報受信機や津波予測連絡システムが設置され、被災リスクを迅速に従業員に通知します。倉庫内作業員の安全管理には、ウェアラブルセンサーを用いた安否確認システムやドローン巡回による見守りが導入されつつあります。
- ドローン・ロボットによる巡回点検：災害発生後、人員の安全確保が優先される中で、倉庫や構内をドローンで空撮し被害状況を迅速に把握します。また、階層的なロボットが倉庫内を自律巡回して緊急停止指示や消火活動を支援する実証実験も進められています。
- データバックアップと情報冗長化：重要な受発注・在庫データはクラウド上にバックアップし、社内サーバーの障害に備えています。さらに、複数拠点での情報共有体制を構築することで、ひとつの拠点に障害が起きても業務継続が可能です。
- 訓練とマニュアル整備：従業員教育も重要です。非常時対応マニュアルや避難訓練を定期的に実施し、全員が緊急時に適切な行動を取れるよう備えます。緊急連絡網や安否確認システムの運用も整備されています。
- 輸送ネットワークの冗長化：主要ルートが被災した場合に備え、複数の代替輸送ルートを事前に確保します。航空輸送や鉄道輸送への切り替え計画も検討し、サプライチェーンの柔軟性を高めます。
- 多拠点分散と予備在庫：リスク分散のために物流拠点を分散配置し、被災リスクの低いエリアにも予備在庫を設定します。これにより一拠点被災時でも一定期間物流を維持できます。
これらの対策により、災害発生時でも物流機能を維持できる体制が整います。展示会では耐震装置や非常用電源システムのデモ展示のほか、BCP専門家によるセミナーも開催予定です。最新の安全支援技術や体制構築を学び、災害リスクに強いサプライチェーンを構築しましょう。
会期までのスケジュール
展示会出展成功の鍵は、十分な事前準備にあります。下記は一般的な準備スケジュールの例です：
- 6か月前～：出展計画の立案 – 目的・予算の明確化、出展規模や位置の検討、出展申し込みを行います。プロジェクトチームを編成し、社内外で役割分担を共有します。また、協賛セミナーや講演の応募締め切りを確認します。
- 3か月前～：ブース設計・集客計画 – ブースのコンセプト決定と3Dパース作成を進めます。ブースの動線設計も並行して行い、来場者が立ち寄りやすいレイアウトを検討します。同時に招待状作成やセミナー企画など集客施策を立案し、顧客・取引先への案内を開始します。
- 2か月前～：プロモーション準備 – カタログ、パンフレット、ノベルティなど配布物の発注を完了させます。展示予定製品・機材の調整やデモリハーサルを行い、不足備品の洗い出しと手配をします。必要に応じて展示台や什器のレンタルも手配します。
- 1か月前～：最終確認と社内調整 – ブース施工プランの確定と主催者への各種申請（電気・搬入時間など）を完了させます。社内スタッフ向けに事前説明会を実施し、製品知識・トーク内容の確認を行います。名刺やパンフレット、予備機器など物品の最終チェックと梱包もこの時期に完了させます。
- 直前（1週間前～当日） – 設営リハーサルを行い、不備がないか全員で確認します。招待客への来場リマインド連絡やSNS告知を行います。会期中はスケジュール管理表を用意し、スタッフ交代や休憩時間を計画的に運用します。搬入荷物に忘れ物がないか再確認し、万全の態勢で会期初日を迎えましょう。
- フォローアップ準備 – 会期中に集まった名刺やアンケート情報を整理し、担当者別にフォローアップ計画を練ります。展示会後の訪問商談や見込み客への連絡戦略をあらかじめ準備し、機会を逃さない態勢を整えます。
まとめ
国際物流総合展2026は、物流・ロジスティクス分野の最新技術やソリューションを一堂に集める場です。本記事で紹介した自動化ロボットやIoTスマート物流、サステナブル物流、AI活用、BCP対策などの最新トレンドを戦略的に把握して出展に臨むことで、展示会出展の効果を最大化できます。特に以下のポイントを意識しましょう：
- 最新トレンドの理解：物流DX、自動化、サステナブル、BCP対策など主要テーマをおさえる。展示会公式情報や業界ニュースを積極的にチェックし、訴求ポイントを社内共有します。
- 戦略的な集客・設計：ブースの導線設計や演出計画を早期に立案し、効果的なプロモーション施策を行います。顧客属性に合わせた訴求メッセージとデザインで、注目度を高めます。
- 事前連携の強化：既存顧客やパートナーへの招待活動を強化し、商談機会を増やします。共同セミナーやプレゼン企画での情報発信を通じて、新規顧客獲得につなげましょう。
- フォローアップ計画：会期後のリード管理と営業計画を構築し、展示会で得た接点を次につなげます。フォロー体制を事前に整え、商談から受注への流れをスムーズにします。
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